アルミをはじめとした金属製のサッシは、その性質上、熱が伝わりやすくなります。
一方、熱を伝えにくいサッシとして注目されているのが樹脂窓です。
今回は、樹脂窓の特徴とメリット・デメリットをまとめました。
ぜひ窓選びの参考にしてみてください。
樹脂窓とはどのような窓か
フライパンの取手などに使われることが多い「塩化ビニール樹脂」を素材として作った窓枠のことを、樹脂サッシといいます。
樹脂窓はこの樹脂サッシを使った窓のことです。
寒い地域を中心に広がりを見せている窓で、新築戸建て住宅の場合だと北海道で90%程度、北東北3県では約半数が樹脂窓を採用しています。
断熱性能に優れた樹脂窓の特徴とメリット
ここからは樹脂窓の特徴を説明しながら、そのメリットについて解説していきます。
高い断熱性
さきほど、塩化ビニール樹脂はフライパンの取手などに使われると説明しました。
これは、金属であるフライパンが熱い状態でも持てるようにするためです。
熱くなった金属の熱を伝えにくい素材なので、取手の素材として使っているのです。
サッシによく使われる素材のアルミに比べると、1,000分の1ほどしか熱を伝えません。
アルミサッシを採用した家に比べると、同条件で冷暖房をした室内温度が夏で2度低くなり、冬は4度高くなった実験結果もあります。
寒い地域を中心として普及しているのは、このような高い断熱性を持つ窓だからです。
結露しにくい
「冬になると窓に結露が起こることが悩み」という住宅もあるでしょう。
結露は屋内と屋外の温度差により起こりますが、樹脂窓は屋外の冷気が室内に伝わりにくいため、結露が起こりにくくなります。
結露が起こりにくくなることで、窓枠に発生するカビを予防する効果も期待できます。
加工や着色が容易
アルミ製サッシに比べると、塩化ビニール樹脂は加工しやすく着色もしやすい特徴があります。
そのため複雑な構造のサッシを作ることも可能です。
ぴったりと閉まる窓が作れるので、防音や遮音といった音をしっかりと遮る窓も作れます。
またデザインの幅も広がります。
一般的な引き違い窓のみだけではなく、上げ下げ窓や外開き窓なども作れます。
そのため、和風住宅や洋風住宅など住宅タイプに合う窓が作れます。
樹脂窓のデメリット
樹脂窓にはメリットが多いように感じますが、一方でデメリットも存在します。
デメリットを理解せず採用すると、後悔してしまうことがあるので注意しましょう。
アルミサッシの窓より重い
アルミは金属の中でも軽いため、アルミサッシの窓は軽いという特徴があります。
一方樹脂窓は、アルミサッシの窓に比べると重いという特徴を持っています。
人によってはこの重みがデメリットに感じるでしょう。
樹脂窓が重いのは、アルミに比べ強度が低いためです。
アルミサッシと同等の強度にするために、厚みのあるサッシに仕上げる必要があります。
そのため、どうしても重みが出てしまうのです。
このデメリットを改善した製品も出てきていますので、重量が気になる場合には軽量化された製品を選ぶという選択肢があります。
紫外線の影響を受けやすい
プラスチックなどを長い時間日光にさらすと、白っぽく変色し劣化していきます。
これは紫外線のダメージによるものです。
塩化ビニール樹脂もプラスチックほどではありませんが、アルミより紫外線の影響を受けやすくなります。
つまりアルミサッシより劣化しやすいといえます。
ただ、一般的には30年程度は品質維持ができるとされています。
そう考えると大きなデメリットではないかもしれませんね。
適切なメンテナンスを施せば紫外線による劣化には対処可能です。
しかし、日当たりがよすぎる場所に設置するのは避けた方がよいでしょう。
コストが高い
アルミサッシに比べ樹脂窓の普及が進まない理由の1つがコストでしょう。
オール樹脂サッシの樹脂窓は、アルミサッシの窓に比べるとコストは2倍ほどになります。
樹脂とアルミを合わせた複合サッシの場合でも、コストは1.5倍ほどです。
窓の数が多い住宅であればあるほど、樹脂窓にするメリットを高く受けられますが、その分コストが倍増してしまいます。
取り扱いのない会社もある
普及率が低い樹脂窓は、取り扱いがない会社も少なくありません。
もし今まで取り扱いがない会社に樹脂窓の設置を依頼すると、仕入れコストが高くなってしまうことが考えられます。
日ごろから取り扱いがある会社であれば、取り扱いがない会社よりは低コストで導入できる可能性はあります。
まとめ
窓はデザイン性だけではなく、断熱性や遮音性などの性能にも注目して選ぶことが大切です。
樹脂窓はメリットも多い窓ですが、コストがかさんだり、紫外線の影響を受けやすかったりといったデメリットもあります。
このような点も考慮して、樹脂窓を検討してみてください。
もし、どこに設置すしようか、どのような性能を持つ窓が適しているのかなど悩まれたときは、専門の業者さんに相談することをおすすめします。